こんにちは。あいあい整骨院津山院です。
今回は痛みの種類・痛みへのアプローチについて紹介していこうと思います。
⚪︎痛みの種類
・侵害受容性疼痛
侵害受容性疼痛は組織に対する侵害刺激(機械刺激、熱・冷刺激、化学刺激)により末梢の自由神経終末にある侵害受容器が刺激されて発生した疼痛である。組織損傷の結果として炎症部位で産生されるブラジキニン、ATP、プロトンなどの発痛物質やプロスタグランジン、炎症性サイトカインなどの発痛増強物質が誘引される、組織損傷に伴う炎症により放出される発痛物質などは侵害受容器を過敏にして絶え間ない自発痛を発生させ、痛覚過敏の状態を生じさせる。
・神経因性疼痛
末梢組織の侵害受容器の興奮によらず、痛みの伝導路のいずれかの部位に起こる障害を原因とする病的な痛みである、1994年の国際疼痛学会の慢性痛分類では末梢神経系または中枢神経系内の痛みの伝導路のどこかに起こった障害が、痛覚ニューロンの異所性の興奮を起こして痛みが起こるものである。
・心因性疼痛
従来、明らかな身体的原因がなく、その発生に心理的、社会的因子が関与している痛みに「心因性疼痛」という病名が用いられてきた。しかし、いわゆる「心因性疼痛」の多くは心のみに原因があるとはいえず、生物学的、心理的、社会的、行動要因などの多くの要因が複雑に関与する可能性がある。
⚪︎痛みのメカニズム(運動器)
一次求心性(侵害受容)ニューロンは痛み刺激で生じた信号を脊髄後角に伝達する。一次痛を伝導するAδ線維と二次痛を伝導するC線維は、それぞれ脊髄後角の異なる部分に入り、ここで二次求心性(侵害受容)ニューロンとシナプスを形成する。二次ニューロンには特異的侵害受容ニューロンと広作動域ニューロンがあり、一次ニューロンのAδ線維は特異的侵害受容ニューロンと、C線維は特異的侵害ニューロンだけでなく広作動域ニューロンともシナプスを形成する。
特異的侵害受容ニューロンは侵害性の強い機械的刺激には興奮するが、弱い機械的刺激には興奮しないという特徴があり、痛みの発生場所を特定する機能があると考えられている。広作動域ニューロンは機械的刺激の強弱とは無関係に興奮するという特徴があり、痛み刺激の強度を感知するとともに深部組織からの刺激で起こる関連痛の発生にも関与していると考えられている。
急性外傷の受傷時などにみられる速い痛みである一次痛の興奮は、一次ニューロンを介して脊髄後角に伝導される。後角では一次ニューロンと特異的侵害受容ニューロンがシナプスを形成して、痛み信号の伝導により一次ニューロン末端から神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。ここで放出される神経伝達物質の主なものはグルタミン酸とサブスタンスPである。特異的侵害受容ニューロンに伝達された興奮は反対側の外側脊髄視床路である前側索を上行し、視床で三次ニューロンに伝達して大脳皮質体性感覚野に達する。ここにいたり興奮が痛みとして意識され、これに対して遅い痛みといわれる二次痛の興奮はポリモーダル受容器の活動により生じ、一次ニューロンを介して脊髄後角に伝えられる。ここでは特異的侵害受容ニューロンとシナプスを形成するものと広作動域ニューロンとシナプスを形成するものがあり、前脊髄視床路を上行するものと脊髄網様体視床路を上行するものに分かれ視床まで伝導される。二次痛の興奮伝導では延髄、橋、中脳、視床下部などの脳幹部に信号を伝達し、さらに島、前帯状回、扁桃体などの大脳辺縁系にも中継される。
一次痛は、主に痛みの認識に関与し、二次痛は痛みの識別への関与に加え情動、自律機能、記憶などの神経機能にも影響する。
⚪︎急性痛と慢性痛
・急性痛
一般に、急性痛は外傷痛、術後痛、熱傷痛、分娩痛、帯状疱疹痛などに代表される侵害受容性疼痛であり、侵害刺激による生理学的な痛みと炎症性痛がある。病状の一つに含まれ「生体の警告系」という重要な役割があり、刺激の解除や損傷の治療とともに軽快して早期に消失する。痛みの情報が到達すると脳は緊急事態の発生と判断し、交感神経系の活動を指令するので、交感神経が優位となる。突発性の急性痛での生体反応は緊急反応と呼ばれるもので、交感神経ー副腎が優位に活動し、副交感神経の活動は抑制される。心悸亢進、心拍数と心拍出量増加、血圧上昇、瞳孔散大、手掌発汗などが起こり激しい痛みでは七転八倒する、通常持続時間の短い痛みだが中枢および末梢の過敏化(感作)を生じ、可塑的変化が起こり、慢性痛に移行するものもある。
・慢性痛
病態生理学的な痛みに分類され、すべてに「生体の警告系」の役割があるものではなく、患者のQOL(生活の質)を著しく損なうだけの痛みもある。痛みそのものが疾患であるのに加えて、それに伴う様々な症状や訴えをすべて含めた一つの疾患ととらえることができる。ボニカは「急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治療に要する妥当な時間を超えて長期にわたって持続する痛み」としていて、一般には3〜6ヶ月続く痛みと考えられている。慢性痛には疾患の治癒後にも持続する痛みや、進行性のリウマチ性関節炎、末期がんの痛みなどにみられる侵害刺激が長期間加わり続ける侵害受容性疼痛がある。
生理・解剖学的変化とそれに伴う行動変容の結果として起こるのが慢性痛であり、元の疾患は治癒しても痛みは遷延する。慢性痛は単なる痛みの持続ではなく、中枢神経系に生じた可塑的変化や心理学的機序によって歪みが生じる神経系の異常ととらえることができる。
慢性痛は急性痛と異なり、睡眠障害、神経過敏、食欲不振、便秘、いら立ちなどの症状がみられ、痛みへの耐性は低下する。身体運動は減退し、すくみ反応や社会生活から逸脱しようとする傾向がみられる。
⚪︎痛みへのアプローチ
・運動療法
慢性疼痛の症例では廃用性障害による身体機能不全を伴っていることが多い。これらの症例に対する運動機能回復訓練はQOLを確保する意味でも重要なアプローチであり、関節可動域の回復や姿勢の改善には運動器の疼痛を軽減させる効果が期待できる。また、運動には局所の血行改善効果があり、炎症性痛の局所で産生されている内因性発痛物質の排除、局所の浮腫や虚血を改善できる。さらに、運動の継続は患者のモチベーションの向上につながり、脳内の報酬系であるドーパミン神経系が活性化され鎮痛効果をもたらすとの指摘もある。
・物理療法
物理療法は炎症メディエーターの放出抑制、脊髄レベルでの痛み刺激の伝達調整、神経伝導性の変化、エンドルフィン値の上昇など直接的に疼痛を緩和させる。また、筋紡錘系の感受性低下、筋スパズムの減弱、血管拡張と血流速度の変化による浮腫、虚血の軽減など間接的にも疼痛を寛解させる。さらに、疼痛の原因の解決を補助し疼痛を軽減させる。
寒冷療法は代謝を低下させ、セロトニン、ヒスタミン、サブスタンスP、プロスタグランジンなどの炎症メディエーターの産生と放出を抑制し疼痛を軽減するので、急性の炎症性痛を直接的に軽減でき、間接的にも浮腫と虚血を制御し、疼痛を軽減できる。これらの短期的作用により組織の修復と回復を行う。
電気刺激も部分的には脊髄と上位中枢のオピオイドペプチドの放出を刺激し、疼痛を制御すると考えられている。
温熱療法は疼痛に対する閾値を上昇させることで、直接、疼痛の緩和をもたらす。また、コラーゲン線維の伸展性向上や筋の鎮痙作用により、筋や関節の痛みを軽減させる。
寒冷療法、電気刺激、温熱療法は熱刺激、機械的刺激、非侵害受容感覚刺激を与え、脊髄で痛覚信号の伝達を抑制して疼痛を緩和すると考えられている。
・手技療法
手技療法による刺激には鎮痛効果があるが、機械的刺激(間質液の移動や静脈、リンパ系の還流の促進、局所血流の増加、筋痙縮の軽減)により局所の循環が改善され炎症メディエーターが除去されることと、触圧覚受容器への刺激で起こる末梢Aβ線維の興奮が脊髄後角で痛覚刺激の伝達を抑制するゲートコントロール理論によると考えられている。また、心理的効果によっても痛みが軽減すると考えられている。
今回は痛みの種類と痛みへのアプローチについて紹介させていただきました。
日常生活の中で身体に痛みがあると生活の質が落ちたり、モチベーションが下がったりしませんか、、。痛みを改善するには、まず生活習慣を見直すことが大切になってきます。
あいあい整骨院では様々な症状に対応しておりますので、
お身体のことで困っていること、何かわからないこと、不安なことがありましたら、お気軽にご連絡・ご相談お待ちしております。